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特集 第56回日本臨床眼科学会講演集 (4)
白内障手術後にMRSA感染により敗血症性ショック・急性腎不全・DICに陥った1例
著者: 遠藤実1
所属機関: 1公立社総合病院眼科
ページ範囲:P.751 - P.754
文献購入ページに移動要約 66歳女性が右眼白内障手術を受けた。2か月前に左足関節骨折に対して骨接合術を受け,以後整形外科に入院中であった。抗生物質の点滴が術後8日間行われていた。白内障手術は術中・術後とも問題はなかった。フロモキセフナトリウム(フルマリン(R))の点滴を術後3日間行い,レボフロキサシン(クラビット(R))の内服に切り替えた。術後5日目に咽頭痛,悪心,発熱が起こった。3日後に体温が40℃になり,血圧が下降してショック状態になった。便からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が培養された。術後9日目に敗血症の状態になり,急性腎不全と播種性血管内凝固(DIC)が併発した。バンコマイシンの全身投与と持続的血液濾過透析を含む諸治療で全身状態は軽快した。白内障手術前の長期入院中にMRSAが定着し,術後の抗生物質投与でMRSA腸炎が発症したことが,一連の重篤な事態に至った理由と推定された。
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