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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻5号

2003年05月発行

文献概要

特集 第56回日本臨床眼科学会講演集 (4)

初発症状として前部ぶどう膜炎を呈し,サルコイドーシスの併発が疑われた全身性エリテマトーデスの1症例

著者: 堀尾和弘1 西田保裕1 岩崎博之2 吉田健一1 山出新一1 小田早苗1 可児一孝1

所属機関: 1滋賀医科大学医学部眼科学教室 2豊郷病院眼科

ページ範囲:P.841 - P.845

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要約 57歳男性が1週間前からの右眼視力障害で受診した。矯正視力は右0.01,左0.8であり,眼圧は右40mmHg,左12mmHgであった。右眼には豚脂様の角膜後面沈着物を多数伴う前部ぶどう膜炎があり,左眼にもやや軽症で同様な所見があった。右眼の眼底は透見不能であったが,その他は隅角を含め異常所見はなかった。ツベルクリン反応が陰性で,両側肺門リンパ節腫脹があり,眼サルコイドーシスが疑われた。副腎皮質ステロイド薬の局所と全身投与で軽快し,右眼視力は0.8に回復した。初診から6週間後に通院を中断したが,その6か月後に下痢と腹痛が生じた。内科で免疫性溶血性貧血と特発性血小板減少性紫斑病(Evans症候群)を伴う全身性エリテマトーデス(SLE)と診断された。両眼の前部ぶどう膜炎が再発,悪化し,眼底に軟性白斑と出血斑などSLE網膜症があった。眼病変は副腎皮質ステロイド薬の局所と全身投与で軽快した。本症例の前部ぶどう膜炎の原因として,SLEだけでなくサルコイドーシスの関与が推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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