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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻5号

2003年05月発行

文献概要

特集 第56回日本臨床眼科学会講演集 (4)

硝子体細胞診から診断された眼・中枢神経系悪性リンパ腫の1例

著者: 水野かほり1 保坂大輔2 黒川克雄3 郡司久人2 河合一重2

所属機関: 1神奈川県立厚木病院眼科 2東京慈恵会医科大学付属柏病院眼科 3東京慈恵会医科大学付属第三病院眼科

ページ範囲:P.847 - P.850

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要約 32歳男性が2週間前からの左眼霧視で受診した。矯正視力は左右眼とも1.2であった。左眼の前房と硝子体に混濁があり,眼底は正常であった。硝子体混濁が悪化し,3か月後に左眼視力が30cm指数弁に低下したために硝子体手術を行った。初診から2年後に右眼に硝子体混濁が生じた。その10か月後に痙攣発作があり,画像検査で左側脳室に腫瘤が発見された。視野に右同名半盲があった。腫瘤生検でB細胞型悪性リンパ腫と診断された。頭部への放射線照射で右眼硝子体混濁は軽快したが,化学療法に切り替えると増悪した。右眼に硝子体手術を行い,細胞診でclassVの高度異型細胞が検出され,眼・中枢神経系悪性リンパ腫の診断が確定した。右眼には放射線照射を行い,経過は順調である。放射線照射と化学療法が無効であった眼・中枢神経系悪性リンパ腫に対し,硝子体手術による腫瘍細胞の除去と放射線照射の追加が奏効した1例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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