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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻6号

2003年06月発行

文献概要

特集 第56回日本臨床眼科学会講演集 (5)

複数枝の網膜動脈分枝閉塞をきたした眼トキソプラズマが疑われた症例

著者: 中野健一1 飯島裕幸1

所属機関: 1山梨大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.963 - P.966

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要約 53歳男性が数日前からの左眼霧視で受診した。6年前から左眼ぶどう膜炎として加療中であった。矯正視力は右1.0,左0.8で,左右眼とも約-4.5Dの近視であった。左眼に虹彩炎の所見と硝子体混濁があり,周辺部眼底の3方向に色素沈着を伴う瘢痕病巣があった。蛍光眼底造影で網膜静脈炎の所見があった。血清のトキソプラズマ抗体値は32倍でやや高かった。3か月後に左眼視力が0.4に低下し,硝子体混濁が増加し,滲出斑が中心窩の鼻側に出現した。さらに1週間後に左眼視力が0.06になった。蛍光眼底造影で上耳側と上鼻側の動脈枝への流入遅延があり,網膜動脈分枝閉塞症が2か所に生じたと解釈された。これらの所見から眼トキソプラズマ症が疑われた。クリンダマイシンと副腎皮質ステロイド薬の全身投与を行い視力が0.3に回復したが,動脈枝閉塞に由来する視野欠損が残った。眼トキソプラズマ症に複数の網膜動脈分枝閉塞症が続発した稀な症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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