文献詳細
特集 第56回日本臨床眼科学会講演集 (5)
文献概要
要約 原田病10例20眼を副腎皮質ステロイド薬の全身投与を行わずに治療した。男性6例,女性4例で,年齢は24~74(平均48)歳であった。発症から受診までの期間は3~33日,平均10.3日であった。初診時の視力は0.06~1.2で,0.2以下が4眼,0.4~0.7が11眼,0.8以上が5眼であった。全例に散瞳薬と副腎皮質ステロイドを点眼し,2例にはデキサメタゾンの結膜下注射を行った。全身的にはビタミンCと柴苓湯を投与した。治療効果は,視力,前房所見,漿液性網膜剝離,炎症の遷延ないし再発で評価した。9例18眼で1.0以上の最終視力が得られた。網膜剝離は7~48日で消失し,その平均持続期間は21.3±14.0日であった。1例で寛解から5か月後に前房の炎症が再発した。8例に夕焼け状眼底が生じた。今回の原田病症例群の経過は,副腎皮質ステロイド薬の全身投与を行ったときのそれに匹敵すると評価される。
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