特集 第56回日本臨床眼科学会講演集 (5)
アレルギー結膜疾患における自覚症状と他覚所見との相関
著者:
中矢家寿宏1
福島敦樹1
尾崎暁美1
上野脩幸1
所属機関:
1高知医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.1005 - P.1009
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要約 1月~4月までの期間に受診したアレルギー性結膜疾患123例について,抗アレルギー点眼薬の効果判定を企画した。男性40例,女性83例で,年齢は5~86歳,平均46.9歳である。疾患では,季節性アレルギー結膜炎が101例(82.1%)と最も多かった。自覚症状は,そう痒感,羞明,流涙,眼脂,異物感,眼痛の6項目について,0から3+まで4段階の点数の合計で表示した。他覚所見は,10項目について0から3+まで4段階の点数の合計で表示した。点眼薬は,クロモグリク酸ナトリウム(DSCG)とイブジラスト(IBRA)のどちらかとし,無作為に振り分けた。点眼開始から7~10日後に治療効果を判定した。他覚所見が10点以下の軽症例では自覚症状が軽快したが,約40%の症例では十分に改善せず,他の薬剤による追加治療が必要であった。そう痒感の改善率は,他覚所見の合計点の改善度と強く相関した(p<0.001)。DSCGとIBRAの間に,自覚的な効果の差はなかった。他覚所見が5点以下でそう痒感が軽度な症例では単剤療法が無効であることが多く,点眼薬の選択と,他疾患との鑑別に留意する必要があると判断された。