臨床眼科57巻6号

2003年06月発行

特集 第56回日本臨床眼科学会講演集　(5)

網膜静脈閉塞症における血液性状

著者： 権田恭広¹ 渡辺博¹ 大井彩¹ 大牟田絢子¹ 杤久保哲男¹

所属機関： ¹東邦大学医学部第１眼科学教室

ページ範囲：P.1025 - P.1029

要約　網膜静脈閉塞症87例について血液性状を検索した。網膜中心静脈閉塞症52例と網膜静脈分枝閉塞症35例，静脈閉塞は虚血型46例，非虚血型41例であり，年齢は42～91（平均67）歳であった。血液性状は，網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分枝閉塞症，虚血型と非虚血型とで差はなかった。経過中に網膜静脈閉塞症が非虚血型から虚血型に移行した13例では，移行しなかった28例に比べてアンチトロンビンIIIが有意に低かった。凝固に関係する血液性状の変化が網膜静脈閉塞症の経過にある程度影響する可能性がある。