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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻6号

2003年06月発行

文献概要

やさしい目で きびしい目で 42

「加齢」による眼症状

著者: 外園千恵1

所属機関: 1京都府立医科大学

ページ範囲:P.1053 - P.1053

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 最近ある雑誌で,出身大学関連病院の某院長先生が書かれたエッセイを読みました。眼の不調を感じたため病院の眼科を受診したところ,「『老人性です』と“こともなげ”に言われた」とのこと。エッセイでは加齢について述べられていて,『老人』という言葉を使われたことのショック(?)について書きつづられていました。眼科医が説明に用いた『老人』の言葉に,患者である院長先生はとても心を傷つけられたようなのです。診察した眼科医は医局の後輩ですが,決して暴言を吐くような人ではありません。でも,“こともなげ”な説明と感じられたようです。

 「飛蚊症」を心配して受診された方に異常所見がなかった場合に,皆さんは患者さんにどのように説明されているでしょうか。私は,硝子体が加齢で液化していくことなどを話して「年齢による症状なので心配ない」と説明しています。でも,「病気ではないので大丈夫です。年をとったら誰でもなりますよ」と言うことで,医師は「病気でないこと」を強調し安心させているつもりが,患者さんにとっては「年をとった」ということが強く耳に残ることがあるようです。そういえば卒後4年目くらいの頃,夫の上司である小児科助教授の飛蚊症を診察したときも,あとでその先生は夫に「老化って言われたよ」と苦笑していたとか。「そんなことズケズケ言うなよ」と夫に諭されてしまいました。でも,「加齢」という言葉なしに飛蚊症を説明するのは,なんとも困難です。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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