icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻8号

2003年08月発行

文献概要

特集 ベーチェット病研究の最近の進歩

ベーチェット病の臨床像

著者: 川島秀俊1

所属機関: 1さいたま赤十字病院眼科

ページ範囲:P.1312 - P.1316

文献購入ページに移動
はじめに

 ベーチェット病は,トルコの皮膚科医であるBehçetが,口内アフタ,外陰部潰瘍,眼炎症の三主症状を呈する患者を1937年に報告1,2)したのが最初とされている。しかし実はそれをさかのぼること7年前,ギリシャの眼科医Adamantiadesが,同じような三主症状とさらに関節症状を伴う患者の報告をしていた3)。このような経緯から,1960年代には,本疾患をAdamantiades-Behçet diseaseと呼ぶべきとの論点が展開された状況も認められるが,ベーチェット病(Behçet's disease)という疾患名がいつともなく定着し,今日に至っている。

 本疾患は,その国際的分布が,アジアから地中海地域のシルクロード沿いに多く発症していることから,「シルクロード病」ともいわれることはよく知られている。HLA-B51とベーチェット病との強い関連性は,microsatellite marker(HLA-B遺伝子近傍)を用いた近年の分析でも,さまざまな人種において再確認されている4)。本邦での1991年の時点での患者総数は推定1万6千人であり5),新規発症患者は減少傾向にあるものの,累積患者数は増えている。調査研究班発足当初,すなわち,成人の後天的失明の約12%をベーチェット病眼疾が占めていた当時と比べると6),幾種類かの新たな治療薬剤が導入されはしたが7),本疾患に対する治療成績はいまだ満足のいくものではなく,今後さらなる展開が期待されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら