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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻8号

2003年08月発行

文献概要

連載 日常みる角膜疾患 5

点状表層角膜症

著者: 齋藤淳1 近間泰一郎1 西田輝夫1

所属機関: 1山口大学医学部分子感知医科学講座眼科学

ページ範囲:P.1338 - P.1340

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症例

 患者:38歳,女性

 主訴:右眼の視力低下

 現病歴:約1年前から右眼の視力低下と異物感を自覚し,近医を受診したところ,結膜炎,角膜びらんと診断され,サルペリン(R)点眼と0.1%フルメトロン(R)点眼治療を受けた(1日4回)。3か月前に受診した際には右眼の角膜上皮欠損を認めたが,炎症所見は存在せず,サルペリン(R)点眼を中止し,0.1ヒアレイン(R)点眼(1日4回)と0.02%フルメトロン(R)点眼(1日3回)とに変更した。その後も症状の改善がみられなかったため,山口大学医学部附属病院眼科に紹介され受診した。

 既往歴:約1年前に,近医で右眼の急性結膜炎に対して点眼治療を受けた。それまでも麦粒腫を繰り返していた。

 家族歴:特記すべきことはない。

 初診時所見:視力は右0.2(0.7×+4.5D()cyl-3.5D Ax 45°),左1.5(矯正不能)で,右眼の角膜全体に点状表層角膜症(A3D31))が存在し,下方の輪部に結膜上皮の侵入を伴っていた。上眼瞼に脂漏性マイボーム腺機能不全を認めたが(図1),上眼瞼結膜の乳頭増殖や充血および輪部結膜の濾胞形成は観察されず,クラミジア感染を疑わせる濾胞性結膜炎はなかった。中間透光体,および眼底に異常はなかった。シルマーテストI法では右眼5mm,左眼6mmで,角膜知覚検査は右眼45mm,左眼60mm(Cochet-Bonnet知覚計),涙液層破壊時間(break up time:BUT)は右眼で8秒であった。フォトケラトスコープでは右眼に点状表層角膜症によるマイヤーリングの乱れが認められた(図2左)。

 治療および経過:初診時に12時方向の眼瞼縁に黄色や粘稠な分泌物を伴う脂漏性マイボーム腺機能不全,および球結膜充血がみられたが,瞼結膜の乳頭増殖や充血などの明らかな異常所見はなかった。病歴聴取では右眼のみに何度も麦粒腫を繰り返していることが判明した。原因は脂漏性マイボーム腺機能不全と判断し,治療としてミノマイシン(R)錠(100mg)1日2回内服とサルペリン(R)点眼右4回,さらに眼表面のクリアランスを促進する目的で,生理食塩水の点眼を適時使用するよう指示した。再診時には点状表層角膜症がA2D1まで改善し,視力は0.6(0.9)に向上した。2か月後の時点では点状表層角膜症はA1D1に,裸眼視力は1.5まで改善し,自覚症状は消失した(図3)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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