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奇妙な主訴
著者: 大黒伸行1
所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科視覚科学教室
ページ範囲:P.1364 - P.1365
文献購入ページに移動患者は60歳くらいの女性で,夫と一緒に来院された。主訴は「小さくて細い文字はよく見えるのだが,大きくて太い文字が読めない」というものであった。最初は相手の主訴がよく理解できなかったのだが,よくよく聞いてみると結局は「新聞などはよく読める。遠くの標識も見えるしテレビも問題ない。ただ,ポスターや看板の大きな字が,遠くからだと読めるのだが近づくと読めなくなる」ということであった。この症状は2年ほど前からで,いくつもの眼科で診てもらっており,白内障とか加齢性黄斑変性症とか診断されていたようだが,正直いって本気で相手にされていなかったようである。本人もこの症状が普通ではないことはわかっていたようで,夫もなぜこのような症状が出るのか不安であるとのことであった(確かにこのような尋常ではないことを自分が自覚すれば不安になるのも不思議ではない)。
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