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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻8号

2003年08月発行

文献概要

連載 他科との連携

奇妙な主訴

著者: 大黒伸行1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科視覚科学教室

ページ範囲:P.1364 - P.1365

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 「他科との連携がうまくいった症例」という内容でエッセイ風にまとめてくださいという依頼を受けて,いままでに経験した症例について思いめぐらせてみた。考えてみると,糖尿病や高血圧,血液疾患や自己免疫疾患,脳腫瘍などの脳神経疾患などなど,日常診療でよく遭遇し,他科との連携が不可欠な眼疾患はたくさんある。実際,眼科検査が全身異常発見の端緒となったということはほとんどの眼科医が経験しているのではないだろうか。しかし,今回紹介する症例ほどその主訴が奇妙で最終診断に驚いた症例はなかった。今回,執筆する機会を得たのでぜひご紹介したいと思う。

 患者は60歳くらいの女性で,夫と一緒に来院された。主訴は「小さくて細い文字はよく見えるのだが,大きくて太い文字が読めない」というものであった。最初は相手の主訴がよく理解できなかったのだが,よくよく聞いてみると結局は「新聞などはよく読める。遠くの標識も見えるしテレビも問題ない。ただ,ポスターや看板の大きな字が,遠くからだと読めるのだが近づくと読めなくなる」ということであった。この症状は2年ほど前からで,いくつもの眼科で診てもらっており,白内障とか加齢性黄斑変性症とか診断されていたようだが,正直いって本気で相手にされていなかったようである。本人もこの症状が普通ではないことはわかっていたようで,夫もなぜこのような症状が出るのか不安であるとのことであった(確かにこのような尋常ではないことを自分が自覚すれば不安になるのも不思議ではない)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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