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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻9号

2003年09月発行

文献概要

臨床報告

後囊切開後に眼内レンズ後面上に水晶体上皮細胞が増殖伸展した1例

著者: 松本年弘1 吉川麻里1 重藤真理子1 河野智英子2

所属機関: 1茅ヶ崎中央病院眼科 2こうの眼科クリニック

ページ範囲:P.1487 - P.1490

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要約 85歳の男性に両眼の白内障手術とハイドロジェル眼内レンズ挿入を行った。術後の視力は左右とも1.2であった。18か月後に矯正視力が左右とも0.6に低下した。後発白内障があり,これに対してNd:YAGレーザーを左右とも27発照射し後囊を円形に切開した。視力は右1.0,左1.2に改善した。その6か月後に左眼視力が再び0.3に低下した。眼内レンズ後面に半透明膜があり,前部硝子体膜とは離れていた。これにNd:YAGレーザーを照射して視力は1.2に改善した。右眼視力は良好であったが,水晶体上皮細胞が後囊の切開縁から中央部に向かって増殖伸展し,左眼と同様な半透明膜を部分的に形成していた。Nd:YAGレーザーによる後囊切開で生じた細胞成長因子が眼内レンズに取り込まれ,これが水晶体上皮細胞が増殖する原因になったと推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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