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Epidemic keratoconjunctivitis(EKC)として日本の眼科医療になじみの深いEKCは,最近の進歩により,従来の臨床診断から病因診断に流れを変えている。すなわち,EKCの臨床診断名はretrospective criteriaであり,実際の初期診断には実際的ではない。このため多発や院内感染につながることもある。この感染を防止するには,アデノウイルスを検出することが必須であり,さらになぜアデノウイルスが結膜に特異的に親和性を示し結膜炎の原因になるのかを,さらには流行につながっていく背景を知ることが大切である。最近のウイルスの分子生物学の研究の進歩は,アデノウイルスの病因診断が臨床レベルに還元できるまでになり,さらにウイルスの構成部位別の変異が遺伝子系統解析で可能になり,ウイルス自体の変異についても多くの情報が集積されてきている。そこでアデノウイルスの流行について述べる。
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