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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻1号

2004年01月発行

文献概要

臨床報告

Alternaria属による角膜真菌症の2例

著者: 鈴木崇1 宇野敏彦1 水戸毅1 宮本仁志2 砂田淳子3 浅利誠志3 大橋裕一1

所属機関: 1愛媛大学医学部眼科学教室 2愛媛大学医学部附属病院細菌検査室 3大阪大学医学部附属病院臨床検査室

ページ範囲:P.65 - P.69

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 黒色糸状菌の1つAlternaria属による角膜真菌症の2症例を経験した。1例は70歳男性で農作業中にみかんの枝で右眼を受傷した。細菌性角膜炎の診断で治療を受けたが改善せず,受傷10週後に受診した。右眼視力は0.09で,角膜潰瘍と実質の浸潤があった。角膜擦過物に菌糸が認められ,角膜真菌症と診断した。ミコナゾールの点眼などで治療し,3週間後に角膜潰瘍と浸潤は消失し,1.0の最終視力を得た。ほかの1例は70歳女性の農業従事者で,左眼の角膜ヘルペスとして治療を受けたが改善せず,発症から6週後に受診した。左眼視力は0.06で,角膜潰瘍と実質の浸潤があった。ミコナゾールの点眼などで治療し,3週後に角膜潰瘍と浸潤は消失し,0.6の最終視力を得た。両症例とも経過中に角膜擦過物の培養で糸状菌が分離され,Alternaria属と同定された。両症例に共通した所見として,角膜潰瘍の辺縁が不整で浸潤が角膜浅層に限局し,前房蓄膿がなく,進行が緩除であり,さらにアゾール系とポリエン系の抗真菌剤によく反応した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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