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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻1号

2004年01月発行

文献概要

臨床報告

長時間の遮閉により検出された上斜筋麻痺の回旋斜位

著者: 平井美恵1 堀川晶代1 古瀬尚1 長谷部聡1 大月洋1

所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.71 - P.74

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 一般に遮閉眼は遮閉前の状態に比べて斜位を呈し,これは生理的な安静位に関係するとされている。片眼を遮閉することで眼球の前後軸まわりに生じると思われる安静位の回旋斜位を検討した。対象は特発性,または代償不全性上斜筋麻痺27名と正常者8名である。回旋斜位の量は,2時間の片眼遮閉の前後に走査型レーザー検眼鏡(SLO)で記録した眼底写真から計測した。上斜筋麻痺14名(52%)と正常者5名(63%)が遮閉後の外方回旋偏位を示した。回旋斜位の平均値は,上斜筋麻痺で2.01度,正常者で0.65度であった。上斜筋麻痺27例中11例(41%)が正常者の回旋斜位の平均値±3×標準偏差値を超える値を示した。長時間の片眼遮閉で生じた回旋斜位の平均値は,正常者よりも上斜筋麻痺で大であったが,回旋性の安静位の方向については両群ともに明確な傾向はなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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