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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻1号

2004年01月発行

文献概要

臨床報告

黄斑部牽引性網膜剝離に進行したBloch-Sulzberger症候群に対する硝子体手術

著者: 今村裕1 大林亜希1 南政宏1 植木麻理1 廣辻徳彦1 佐藤文平1 池田恒彦1 山内一彦2

所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室 2山口赤十字病院眼科

ページ範囲:P.99 - P.103

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 8歳女児が右眼視力低下で紹介され受診した。乳児期にBloch-Sulzberger症候群と診断されていた。矯正視力は右0.2,左1.2で,屈折,眼圧,前眼部などに格別の異常所見はなかった。右眼に滲出性網膜剝離と線維増殖膜による黄斑を含む牽引性網膜剝離があり,全周に網膜血管の形成不全があった。左眼には眼底全周に無血管野があった。右眼に経強膜冷凍凝固を行ったが滲出性変化は軽減せず,牽引性網膜剝離が進行したため,硝子体手術を行った。水晶体を切除したのち,後極部の増殖膜を剪刀で切開,除去し,周辺部に向かって後部硝子体剝離を作製した。周辺部の無血管領域では網膜硝子体剝離が強固であった。これにより網膜は復位し,手術の9か月後に矯正視力は術前の0.05から0.2に改善した。本症候群に伴う牽引性網膜剝離では,未熟児網膜症や家族性滲出性硝子体網膜症と同様に周辺部網膜無血管野の硝子体処理が困難であることが特徴的であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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