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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻11号

2004年10月発行

特集 白内障手術の傾向と対策―術中・術後合併症と難治症例

Ⅱ.術後合併症の予防と対処

前囊収縮

著者: 黒坂大次郎1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.125 - P.128

文献概要

 傾向

 前囊切開縁は,術後1~3か月に白濁し前囊混濁を形成する。混濁した部位には,筋線維芽細胞に変化した水晶体上皮細胞が存在し,前囊切開縁を収縮させ巾着絞りのように前囊切開窓が減少する1)。この変化自体は,一般的に認められる現象であるが,時に著しく前囊切開縁が収縮してしまい前囊切開窓が著しく減少ないしは消失してしまうことがある2~4)。こうなると光学的に障害を生じ,減少した前囊切開窓を広げる必要が出てくる。

 前囊切開縁を収縮させる力は,この部に存在する筋線維芽細胞に変化した水晶体上皮細胞である1)。この細胞は,前囊切開縁下で眼内レンズ上に存在しており,筋線維芽細胞に変化するのには,それに接している眼内レンズの光学部素材が影響することが知られている。一般に,シリコーン製眼内レンズの場合にはこの変化が強く,アクリル系の場合には少ないといわれている5,6)。また,術後の炎症が強かったり,糖尿病などの基礎疾患があると前囊混濁や収縮が強くなる7,8)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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