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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻11号

2004年10月発行

文献概要

特集 白内障手術の傾向と対策―術中・術後合併症と難治症例 Ⅲ.ハイリスク症例―私はこうする

瞼裂狭小眼,deep set eyeの白内障

著者: 吉富文昭1

所属機関: 1大宰府吉冨眼科

ページ範囲:P.161 - P.163

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 瞼裂狭小,deep set eyeの白内障例が負うリスクとは

 瞼裂狭小眼では開瞼状態でドレープを貼れないために,睫毛やマイボーム腺開口部が術野へ露出して術野が汚染されやすい。後嚢破損したり手術が長引くと眼内炎発生の危険が増すと思われる。瞼裂狭小眼やdeep set eye(奥目)では視認性不良のために後嚢破損を起こしやすいし,それを恐れるために起きてしまう前房内核乳化吸引による角膜内皮障害も起こりやすい。また,超音波チップが相対的に立つことによる創口の熱傷や破損とそれによる創閉鎖不全の問題もある。

 ドレープ問題

 極度の瞼裂狭小眼では開瞼状態でドレープを貼ることはほとんど不可能である。昔は外眥部を切開する方法(外眥切開)がしばしば行われたものだが,筆者はこの20年間行ったことはない。手術の開始時に患者の痛みの閾値を下げて力みによる硝子体圧上昇を起こしてしまうことは,決して得策とはいえないからである。筆者はここ1年くらいは,筆者らが考案した二重開瞼器を用いてかなり快適に手術が行えるようになった。これは先に開瞼器を装着して強制的に開瞼状態としてからドレープを貼り,さらにもう1つ開瞼器を装着するもので,2つの開瞼器は喧嘩しないようにいわば親子関係のように設計されている(図1)。睫毛やマイボーム腺開口部を術野へ露出させない効果と視認性を良好にする効果がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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