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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻11号

2004年10月発行

特集 白内障手術の傾向と対策―術中・術後合併症と難治症例

Ⅲ.ハイリスク症例―私はこうする

アトピー性白内障―網膜剝離への対応も含めて

著者: 櫻井真彦1

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター眼科

ページ範囲:P.244 - P.249

文献概要

 はじめに

 アトピー性皮膚炎(以下,本症)に伴う白内障(以下,アトピー性白内障)は若年者の視力障害原因となるだけでなく,網膜剝離との関連が深く,単純に白内障のことだけ考えて診療や手術を行っていると,後に取り返しがつかない事態を生じる場合がある。眼瞼あるいはその周囲に皮膚炎を生じている例では,瘙痒感から眼周囲の顔面叩打癖を有している場合が少なくない。近年ではこの患者自身による顔面叩打が白内障や網膜剝離の発症原因として有力視されている1~4)。すなわち,白内障を生じているということは網膜にも何らかの異常を生じている可能性があると考えなくてはならない。現に手術を要するほどの白内障を生じている本症患者には,すでに高率に網膜剝離あるいは網膜や毛様体上皮の裂孔を併発していたとの報告5,6)もあり,筆者自身もしばしば同様の経験をしている。したがってアトピー性白内障に対しては,白内障のみでなく,その奥に潜んでいる可能性がある網膜剝離をも念頭において診察,手術をしなくてはならない。もし網膜剝離が合併している場合,重症度から考えれば,当然IOLの挿入も含めた白内障の手術よりも網膜の復位が優先されるべきである。そこで本稿ではまず網膜剝離への対処法について述べたうえで,白内障への手術方針につき述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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