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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻11号

2004年10月発行

文献概要

特集 白内障手術の傾向と対策―術中・術後合併症と難治症例 Ⅲ.ハイリスク症例―私はこうする

ぶどう膜炎併発白内障

著者: 後藤浩1

所属機関: 1東京医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.259 - P.263

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 術前に注意すべき点

1.臨床診断・病態把握の重要性1)

 ぶどう膜炎症例に何らかの外科的侵襲を加えなくてはならない場合,原則としては活動性炎症のない,あるいは低下している時期を選んで実施することが理想であることはいうまでもなく,併発白内障手術についても例外ではない。しかし,例えばFuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎のように,眼内炎症の存在下に手術を行っても問題の生じにくい疾患もあれば,若年性関節リウマチに伴う虹彩毛様体炎や女児に多い若年性慢性虹彩毛様体炎(chronic iridocyclitis in young girls)のように,いかなる時期に手術を行っても術後の眼圧上昇や後発白内障などに悩まされる疾患もある。ベーチェット病に対する併発白内障手術も侵襲の小さい手術が滞りなく行われた場合には,手術そのものが病態を悪化させる可能性は非常に少なくなったが,それでも術後に炎症発作を生じる可能性は皆無ではない。

 ぶどう膜炎症例では少なくとも全症例の60%以上が同定不能(分類不能)と考えられるが,手術の施行にあたっては原疾患によって術後の経過が大きく異なることを認識しておくことが重要である。そのためには術前に病歴を含めた臨床像を整理し,特定の診断には至らないにしても,どのようなカテゴリーに当てはまるぶどう膜炎であるのか,少なくとも肉芽腫性・非肉芽腫性炎症の鑑別,急性炎症・慢性炎症の区別などについて把握しておくことが求められる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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