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連載 日常みる角膜疾患20
角結膜上皮内癌・扁平上皮癌
著者: 森重直行1 足立格郁1 西田輝夫1
所属機関: 1山口大学医学部分子感知医科学講座(眼科学)
ページ範囲:P.2074 - P.2077
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患者:48歳,男性
現病歴:9歳時にStevens-Johnson症候群を発症し,近医で経過観察をされていた。左眼の下方輪部結膜の腫瘤を指摘され,2000年10月3日に精査加療目的で当科に紹介され受診となった。
初診時所見:視力は右眼0.9(1.0),左眼0.02(n.c.),左眼の角結膜輪部下方に半透明の隆起性病変を認め,同部位には花火状の血管増生を伴っていた(図1)。結膜原発腫瘍と診断し,左眼腫瘍切除術を施行した。悪性腫瘍を考え,安全域を2~3mmとって一塊にして切除した。病理組織学的には,病変部に円形~扁平の上皮細胞の増殖を認め,クロマチンの濃縮と核/細胞質比の増大を認めた(図2a)。基底膜を越えた下部組織への異常細胞の浸潤はみられなかったことから(図2b),病理組織学的に上皮内癌と診断した。術後3年以上経過したが,再発を認めていない。
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