icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻12号

2004年11月発行

文献概要

臨床報告

眼内レンズの毛様溝縫着術後に上脈絡膜出血を生じた2例

著者: 柴友明1 中原正彰1 宮井尊史1 宮田和典1 山本修一2

所属機関: 1宮田眼科病院 2千葉大学大学院医学研究院視覚病態学

ページ範囲:P.2135 - P.2140

文献購入ページに移動
 毛様溝縫着による眼内レンズ挿入後に,上脈絡膜出血が2眼に発症した。1例は57歳男性で,すでに偽水晶体眼であり,眼内レンズが硝子体腔に脱臼して受診した。眼内レンズを摘出し,別の眼内レンズを毛様溝に縫着した。手術の90分後に眼痛が生じ,超音波検査で駆遂性上脈絡膜出血と診断した。3日後の再手術では,出血が多量で凝固し,除去が困難であり,対向する網膜が接触し,鋸状縁断裂があった。他の1例は51歳男性で,打撲により水晶体が硝子体腔に落下した。扁平部経由で硝子体と水晶体を切除し,通常の方法で眼内レンズを挿入し,毛様溝に縫着した。11週後に階段で転落し,左眼を打撲した。前房出血と,強い上脈絡膜出血があった。9日後に組織プラスミノーゲンアクチベータ(tissue plasminogen activator:t-PA)を眼内に注入した。その翌日に強膜を切開し,すでに溶血している上脈絡膜出血をほぼ完全に除去した。術後の上脈絡膜出血では,溶血の起こる10日後頃に手術するのが望ましい。術前のt-PAの眼内注入で術中の合併症を軽減できる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?