臨床報告
強度近視黄斑円孔網膜剝離に対するトリアムシノロン硝子体手術
著者:
高橋京一1
橋本英明1
鈴木綾乃1
横田幸大1
岸章治1
所属機関:
1群馬大学大学院医学系研究科病態循環再生学講座視覚病態学分野
ページ範囲:P.2295 - P.2300
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目的:強度近視での黄斑円孔に続発した網膜剝離に対する硝子体手術による治癒率と,残存硝子体皮質の除去範囲との関係の検索。対象と方法:18人18眼を対象とし,レトロスペクティブに検索した。女17人,男1人で,年齢は52~81歳(平均66歳)6眼が偽水晶体眼であった。屈折は-6D~-21D(平均-14D)であった。全18眼に後部ぶどう腫があった。Weiss ringが17眼(94%)にあった。網膜剝離の範囲はぶどう腫内が10眼,それ以上が8眼であった。全例にトリアムシノロンを併用した硝子体切除とガスタンポナーデを行った。後部硝子体剝離がある17眼中14眼で硝子体皮質が網膜前に検出された。この硝子体皮質に対して,4眼ではぶどう腫内のみ,8眼では耳側の中間周辺部まで,2眼では硝子体基底部まで剝離した。13眼で円孔周囲の小範囲の内境界膜剝離を行った。結果:初回の網膜復位は,ぶどう腫内のみ残存硝子体皮質を剝離した4眼中1眼(25%)と,より広い範囲を剝離した10眼中9眼(90%)および残存硝子体皮質のなかった3眼中2眼で得られた。光干渉断層計で,黄斑円孔は3眼で閉鎖した。結論:強度近視黄斑円孔網膜剝離では,術前にWeiss ringがあっても高率に網膜前の硝子体皮質の残存がある。硝子体手術にトリアムシノロンを併用し,残存硝子体皮質を中間周辺部以遠まで除去することで網膜復位率が向上する。