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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻13号

2004年12月発行

文献概要

臨床報告

血管内リンパ腫による仮面症候群の1例

著者: 岩田大樹1 南場研一1 東こずえ1 小竹聡1 大野重昭1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻感覚器病学講座視覚器病学分野

ページ範囲:P.2307 - P.2311

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 60歳女性が15か月前に右眼の虹彩炎と診断され,5か月前からの症状悪化で受診した。矯正視力は右0.15,左1.0であった。右眼には虹彩炎と硝子体混濁があり,耳側周辺部の網膜に滲出斑があった。蛍光眼底造影で網膜血管の透過性亢進はなかった。硝子体混濁が増悪し網膜滲出斑が隆起してきたために,初診から10か月後に入院し,ぶどう膜関係の検索を行った。サルコイドーシスは否定され仮面症候群が疑われたが,ぶどう膜炎の原因同定はできなかった。眼内病変はプレドニゾロン内服で軽快したが,紫斑,尿閉,汎血球減少が突発した。画像診断で脳虚血があり,脳生検で血管内リンパ腫(intravascular lymphoma)の診断が確定した。化学療法などを行ったが,全身状態が悪化し,不帰の転帰をとった。仮面症候群には副腎皮質ステロイド薬に反応することがあり,注意が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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