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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻13号

2004年12月発行

文献概要

臨床報告

日本人上眼瞼の組織所見

著者: 井出醇1 山崎太三1 三戸秀哲1 青島周明2 白澤信行3

所属機関: 1井出眼科病院 2青島眼科 3山形大学医学部情報構造統御学講座形態構造医学分野

ページ範囲:P.2331 - P.2339

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 日本人の上眼瞼の構造を,Whitnall靭帯まで含めて検索した。症例は64歳と68歳の男性および90歳女性の解剖研究用死体3体6眼瞼である。6検体とも眼窩隔膜と上眼瞼挙筋腱膜の合流部は瞼板上縁よりも上方であった。従来は眼窩脂肪と混同されていた線維脂肪組織が6検体すべてで眼瞼板上縁の高さまで下降していた。このために上眼瞼挙筋腱膜は眼輪筋前隔膜部上方の後面には付着しなかった。眼窩脂肪が上眼瞼縁近くまで下降する検体はなく,眼窩脂肪の下降脱出が「腫れぼったい東洋人の眼」の重要な原因ではない可能性が高い。線維脂肪組織が存在し,このために上眼瞼挙筋腱膜が眼輪筋前隔膜部上方の後面に付着できないために,開瞼時に分厚い眼瞼前葉の上半分が眼窩内に引き込まれないで残ることが「腫れぼったい東洋人の眼」の1つの原因である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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