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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻2号

2004年02月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

硝子体手術により網膜細動脈瘤を摘出した2例

著者: 目取真興道1 恵美和幸1 高岡源1 大八木智仁1 池田俊英1 渡邉誠樹1 酒匂丈裕1

所属機関: 1大阪労災病院眼科

ページ範囲:P.165 - P.170

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 黄斑剝離を併発した巨大な網膜細動脈瘤の2症例に硝子体手術を行い,細動脈瘤を摘出した。第1例は66歳男性で,左眼の乳頭近傍に1.5乳頭径大の網膜細動脈瘤があった。発症3日目の矯正視力は0.7であったが,網膜下出血が黄斑下に拡大し,1週後に視力が0.03に低下した。硝子体手術で意図的網膜裂孔を通じて網膜下出血を除去した。視力は0.5に改善したが,増殖性変化が生じ,黄斑を含む牽引性網膜剝離が起こった。2度目の手術を5週後に行った。増殖膜を剝離・除去し,細動脈瘤を摘出した。最終視力は0.8に回復した。第2例は64歳男性で発症2週後に受診した。左眼に3個の網膜細動脈瘤があった。患眼の矯正視力は1.5であった。2か月後に滲出性網膜剝離が黄斑部に及び,視力が0.2に低下した。発症から約3か月後に硝子体手術を行った。内境界膜を剝離したのち,最も大きな網膜細動脈瘤を摘出し,ほかの2個を光凝固で処理した。最終視力は1.2に回復した。黄斑下血腫や網膜剝離などを伴う網膜細動脈瘤では,黄斑機能を維持・回復させるために,硝子体手術による細動脈瘤切除が有効な選択肢になり得る。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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