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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻2号

2004年02月発行

文献概要

臨床報告

家族性アミロイドポリニューロパチーⅣ型に伴うⅡ型格子状角膜ジストロフィの1症例

著者: 関根寿樹1 小幡博人2 白土城照3 楠進4 水流忠彦2

所属機関: 1東京大学医学部眼科学教室 2自治医科大学眼科学教室 3東京医科大学八王子医療センター眼科学教室 4東京大学医学部神経内科学教室

ページ範囲:P.217 - P.222

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 61歳女性が2年前から言葉が鼻に抜ける構音障害があり,神経内科で加療していた。脳神経障害と特徴的な顔貌から家族型アミロイドポリニューローパチーⅣ型(フィンランド型:FAF)が疑われ,眼科を受診した。本症は緩徐に進行する脳神経障害と,Ⅱ型格子状角膜ジストロフィ(lattice corneal dystrophy typeⅡ:LCDⅡ型),皮膚の瘙痒と色素沈着を特徴とする常染色体優性遺伝性の全身性アミロイドーシスである。矯正視力は右0.4,左0.6であり,緑内障に対して点眼治療中であった。両眼に,角膜周辺部から中央に向かって分岐して延びる格子状角膜混濁と点状混濁があった。角膜厚と角膜内皮細胞は正常範囲にあった。眼瞼は左右とも皮膚弛緩が強く,眼瞼下垂と兎眼があった。遺伝子解析で,ゲルゾリンcDNAの654番目の塩基がグアニン(G)からアデニン(A)に変異しているG654Aであり,フィンランドの症例と同じであった。FAFに特徴的なLCDⅡ型の角膜病変は診断的価値が高いことと,緑内障の合併が多いので注意が必要なことを本症例は示している。本症例は既報のFAFの家系とは無関係であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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