icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻3号

2004年03月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (1) 原著

多クローン性高γグロブリン血症にみられた血液過粘稠度症候群網膜症の1例

著者: 大島春香1 牧野伸二1 近藤千佳1 金上貞夫1 水流忠彦1

所属機関: 1自治医科大学眼科学講座

ページ範囲:P.309 - P.313

文献購入ページに移動
 72歳女性が4か月前に右眼視力の低下を自覚し,網膜出血で紹介され受診した。矯正視力は右0.5,左0.3であった。網膜静脈がソーセージ様に拡張し,著明に蛇行し,網膜出血,硝子体出血,毛細血管瘤,黄斑浮腫が併発していた。周辺網膜には無血管野があった。眼底所見から血液過粘稠度症候群が疑われた。血液検査で,貧血と赤血球の連銭形成像があり,血清総蛋白10.8g/dl,IgG 4,205mg/dl,IgM 463mg/dl,IgA 719mg/dlと著増していた。免疫電気泳動は多クローン性高γグロブリン血症の所見であった。血液粘稠度(正常値4.3~5.5cP)は12.2cPであった。以上の所見から血液過粘稠度症候群に続発した網膜症と診断した。治療として抗凝固薬を投与し,眼底周辺部の無血管野に光凝固を行った。初診から8か月後には,血液粘稠度が9.16cPになり,網膜静脈のソーセージ様拡張と蛇行が軽快し,網膜出血,硝子体出血,毛細血管瘤,黄斑浮腫が寛解し,矯正視力が右0.6,左0.5に改善した。血液過粘稠度症候群に続発した網膜症が,血液粘稠度の改善により軽快した1例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?