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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻3号

2004年03月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (1) 原著

白内障手術により進行が停止したレーザー虹彩切開術後の角膜内皮減少症の1例

著者: 園田日出男1 中枝智子1 根本大志1

所属機関: 1燕労災病院眼科

ページ範囲:P.325 - P.328

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 58歳女性の両眼に狭隅角があり,レーザー虹彩切開術が行われた。8年後に右眼視力が低下して再受診した。角膜浮腫が生じていた。矯正視力は右0.5,左1.2であった。両眼とも浅前房で,瞳孔ブロックがあった。角膜内皮細胞数はmm2あたり右407,左644であった。その4か月後に,角膜移植の前段階として水晶体摘出術と眼内レンズ挿入術を右眼に行った。術後3か月で角膜浮腫は消失し,視力が1.2に改善した。以後4年6か月の間この状態が維持され,角膜内皮細胞数は安定している。左眼では角膜内皮細胞の減少が続き,再受診の3年後に約250/mm2になり,水疱性角膜症が生じた。水晶体摘出術と眼内レンズ挿入術が行われ,角膜浮腫は限局化し,21か月後の角膜内皮細胞数は380/mm2であった。レーザー虹彩切開術後の角膜内皮減少症の原因として術後の房水灌流異常が推定され,白内障手術が角膜内皮減少症に有効であったと思われる症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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