文献詳細
臨床報告
文献概要
過去4年間に139眼に対して行ったviscocanalostomy(VC)の結果をまとめた。対象は開放隅角緑内障,白内障または硝子体手術後の緑内障,続発緑内障などであり,3剤以上の点眼で眼圧コントロールが不良な症例が基本である。99眼にはVCを単独で実施し,40眼には白内障手術を同時に行った。術前の薬物使用中の眼圧は,単独群29.0±7.3mmHg,同時手術群24.2±8.1mmHgであった。手術1か月後の眼圧は,単独群15.4±3.1mmHg,同時手術群13.3±3.5mmHgであり,術後36か月までの平均眼圧は,点眼を行わない症例で14.1~16.0mmHg,点眼を併用した全症例で15.3~16.5mmHgの範囲にあった。手術後早期の眼圧がその後高くなる傾向はなかった。個々の症例での眼圧は,13~18mmHgの範囲にあるものが多かった。12mmHg以下が無点眼群で5.3~15.1%,全症例群で6.5~21.2%あり,14mmHg以下が無点眼群で16.0~34.4%,全症例群で20.0~42.4%あった。全期間中,同時手術群での眼圧は単独群よりも1.1~3.3mmHg低値であった。以上の結果から,VCは,14mmHg以下の眼圧を得る頻度がやや低く,術後に点眼を必要とする頻度がやや高いが,術後管理が容易かつ安全で,マイトマイシンCを必要としないなどの利点があり,緑内障手術として有用であると結論される。
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