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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻3号

2004年03月発行

文献概要

臨床報告

片眼虹彩への浸潤で発見された悪性リンパ腫の1例

著者: 番裕美子1 阿部俊明1 高橋佳奈1 玉井信1 長谷川隆文2 一迫玲3

所属機関: 1東北大学医学部眼科学教室 2東北大学大学院医学系研究科神経内科学講座神経内科学分野 3東北大学大学院歯学研究科口腔病理学分野

ページ範囲:P.363 - P.367

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 73歳男性の左眼に土が飛入し,前房混濁が発見された。抗菌薬や消炎薬で軽快せず,発症から5週後に紹介され受診した。左眼視力は0.4で,角膜後面沈着物と虹彩ルベオーシスがあった。眼底には異常所見がなかった。腫瘍性病変を疑い,前房水の生検を2回行ったが確定診断は得られなかった。当眼科受診の頃から左上半身に知覚と運動障害があり,腫瘍細胞の中枢神経への浸潤が疑われた。当眼科受診の5週後に診断的虹彩切除を行い,びまん性大細胞型B細胞性悪性リンパ腫の診断が確定した。右動眼神経麻痺が生じ,放射線照射と化学療法などを行ったが全身状態が悪化し,当眼科初診から10か月後に逝去した。悪性リンパ腫が,消炎治療に反応しない片眼性ぶどう膜炎の原因になり,著明な虹彩浸潤を起こすことを示す1例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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