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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻4号

2004年04月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (2) 原著

治療が奏効した重篤な甲状腺角結膜障害の1例―甲状腺刺激抗体の変化

著者: 高本紀子1 神前あい1 尤文彦1 井上トヨ子1 前田利根1 井上洋一1

所属機関: 1オリンピア眼科病院

ページ範囲:P.483 - P.486

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 51歳男性が左角結膜障害と閉瞼不能で受診した。18年前に甲状腺機能亢進症と診断され加療中であったが,2年前に治療を中断した。10年前から眼瞼腫脹と眼球突出があり,2年前に角膜潰瘍が左眼に発症した。1か月前に左眼の角膜が穿孔した。初診時の矯正視力は,右0.6,左光覚弁であり,眼球突出度は右26mm,左37mmであった。瞼裂の上下幅は右12mm,左30mmであった。両眼に強い結膜充血と浮腫があり,左眼に角膜潰瘍があった。副腎皮質ステロイド薬の全身投与と球後注射,眼瞼縫合,眼窩減圧術などを行い,眼球突出と結膜浮腫は軽快した。甲状腺刺激抗体(thyroid-stimulating antibody:TSAb)は,初診時3,764%,治療後177%であった。甲状腺機能亢進症の加療でTSAbが大幅に改善した例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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