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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻4号

2004年04月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (2) 原著

C型慢性肝炎患者におけるインターフェロン網膜症の発症因子についての検討

著者: 川崎綾子1 門正則1 水本桂子1 狩野吉康2 豊田成司2

所属機関: 1札幌厚生病院眼科 2札幌厚生病院第3消化器科

ページ範囲:P.517 - P.519

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 インターフェロンの全身投与を受けている慢性C型肝炎患者107例につき,インターフェロン網膜症の発症とこれに関連する因子を検索した。男性64例,女性43例で,平均年齢は52.9±11.7歳であった。41例はインターフェロンの単独投与を受け,47例はリバビリンを併用した。投与開始から4週ごとに眼底などを検査した。視力障害などの自覚症状は皆無であったが,インターフェロン網膜症は40例(37%)に発症した。平均発症時期は投与開始から77日であった。網膜症は,男性28%と女性51%,糖尿病患者75%と非糖尿病患者34%,55歳未満24%と55歳以上50%に発症した。女性(p=0.04),糖尿病(p=0.002),年齢(p=0.05)が危険因子であった。発症率は,インターフェロン単独投与群と併用療法群の間に有意差はなく,ヘモグロビン値,血小板数,HCV-RNA量,高血圧の有無も無関係であった。以上の結果から,高齢者,女性,糖尿病患者でのインターフェロン治療では,網膜症の併発に格別の注意が必要であると結論される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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