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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻4号

2004年04月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (2) 原著

駆逐性出血に臨床病理的検索を行った1例

著者: 峯正志1 名和良晃2 福原潤1 原嘉昭2

所属機関: 1奈良県立三室病院眼科 2奈良県立医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.551 - P.555

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 82歳女性の右眼に白内障手術を行った。13年前から糖尿病に対して薬物の経口投与,10年前からインスリン注射,2か月前から高血圧の治療が開始されている。左眼の白内障囊内全摘出術と眼内レンズ挿入術が10年前に行われ,順調な経過をとった。右眼手術にはテトラカイン点眼下で,超音波乳化吸引術を用い,眼内レンズを毛様体溝に縫着した。手術開始から45分後に縫着が終了し,強角膜創を縫合している際に強い疼痛を訴え,続いて強角膜創から虹彩と硝子体が脱出してきた。このときの血圧は250/110mmHgであった。以後駆逐性出血の状態になった。手術の5週間後,視力ゼロで疼痛が強いため,本人の希望により眼球を摘出した。摘出眼では,脈絡膜が渦静脈の付近まで広範に出血性に剝離し,眼球上方の変化が強かった。駆逐性出血は上側の脈絡膜からの出血によると推測した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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