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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻4号

2004年04月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (2) 原著

経瞳孔温熱療法により顕著な網膜剝離を生じた網膜血管腫の1例

著者: 鈴木綾乃1 橋本英明1 佐藤拓1 岸章治1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.575 - P.578

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 59歳女性が1年前からの右眼霧視が進行して受診した。矯正視力は右0.5,左0.9であった。右眼底の下方周辺部に限局性の網膜剝離を伴う2乳頭径大の血管腫があり,その流入・流出血管には著しい拡張はなかった。囊胞様黄斑浮腫(CME)が併発していた。光凝固を行ったが奏効せず,その2か月後に強膜経由で冷凍凝固を行った。網膜剝離とCMEが軽減しないために,5か月後に経瞳孔温熱療法(TTT)を500mW,3mm径,4スポット,60秒で実施した。その直後から網膜剝離が増悪し,視力はTTT前の0.2から0.06に低下した。その3か月後から血管腫への光凝固を7回繰り返した。光凝固開始から14か月後に血管腫は瘢痕化し,網膜剝離とCMEは消退したが,黄斑萎縮のため最終視力は0.02に低下した。TTTが血管腫内部の血管の閉塞を起こさず,血管壁を障害して血漿成分の漏出を増加させたと解釈される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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