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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻4号

2004年04月発行

文献概要

臨床報告

ビタミンB1 欠乏が主因であると考えられた栄養欠乏性視神経症の1例

著者: 足立格郁1 鈴木克佳1 熊谷直樹1 西田輝夫1

所属機関: 1山口大学医学部分子感知医科大学(眼科学)

ページ範囲:P.607 - P.611

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 64歳男性が,ゆっくり進行する両眼の中心視野障害を12日前に自覚し受診した。20歳の頃から煙草を1日に40本吸い,日本酒を約4合毎日飲んでいた。食事はほとんど摂取していなかった。矯正視力は右0.05,左0.1で,中心フリッカー値は右11Hz,左13Hzであった。ゴールドマン視野計で両眼に盲点中心暗点があった。血液検査所見はほとんど正常範囲にあったが,チアミン(ビタミンB1)のみが低下していた。栄養欠乏性視神経症を疑い,ビタミンB複合剤を点滴投与した。矯正視力は8日後に両眼とも0.5,5週後に右0.7,左0.9に向上した。中心フリッカー値は左右ともに25Hzになり,盲点中心暗点も軽快した。不十分な食物摂取と長期間のアルコール過飲によるチアミン欠乏が,栄養欠乏性視神経症の主因であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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