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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻5号

2004年05月発行

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (3)

原著

ヘルペス性角膜実質炎後の角膜の電子顕微鏡的観察

著者: 隈上武志1 高見由美子1 北岡隆1 雨宮次生1

所属機関: 1長崎大学大学院医歯薬学研究科眼科・視覚科学

ページ範囲:P.777 - P.780

文献概要

 樹枝状角膜炎から円板状角膜実質炎になった2眼に全層角膜移植を行い,得られた角膜を透過型電子顕微鏡で検索した。17年前に発症し,2年後に再発が1回あった61歳女性では,角膜上皮細胞の層が少なく,表層の2~3層以外は暗細胞で,基底細胞も暗細胞であった。Bowman膜はほぼ正常で,変形が強い実質細胞を含み,核に変形像があった。内皮細胞は明細胞で,ミトコンドリアの変形萎縮があった。高電子密度の顆粒が多数あった。電子密度が高い限界膜に囲まれた空胞の中に無構造物質があった。20年前に発症し,複数回の再発があった51歳男性では,Bowman膜が障害され,特異な結晶構造の好酸球が実質に浸潤し,膠原線維束の走行が乱れていた。Bowman膜と角膜実質の障害が高度にあったのは,ヘルペス性角膜実質炎の頻回再発の結果であると推定した。摘出した角膜を検索することは,術後の治療方針の参考にもなる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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