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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻5号

2004年05月発行

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (3)

原著

硝子体手術後に発症したメチシリン耐性黄色ぶどう球菌による術後眼内炎の1例

著者: 秦聡1 賀島誠1 内藤毅1 塩田洋1

所属機関: 1徳島大学医学部視覚病態学分野

ページ範囲:P.785 - P.787

文献概要

 75歳女性が右眼の加齢黄斑変性として19か月前から治療を受けていた。1か月前に網膜下出血が起こり紹介され受診した。矯正視力は右0.3,左1.0であった。右眼に加齢黄斑変性に伴う網膜下出血があったが,すでに瘢痕化し始めていた。その4年後に左眼に黄斑下出血が起こり,視力が0.4に低下した。左眼に硝子体切除,黄斑下新生血管抜去,経毛様体水晶体切除,眼内レンズ挿入,C3F6ガス置換を行った。1日5回のレボフロキサシン点眼を術前の3日間行った。手術の2日後に前房蓄膿を伴う眼内炎が発症した。即日再手術を行い,眼内レンズを摘出し,バンコマイシンを含む各種抗生物質を投与した。その後,眼内炎が再発したが,抗生物質の投与などで治癒した。再手術から4日後に採取した前房水からメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)が分離された。本症例は,硝子体手術後の眼内炎がMRSAを含む多剤耐性菌によって起こりうることを示している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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