文献詳細
特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (3)
原著
文献概要
25歳女性が右眼視力低下を主訴として受診した。気管支喘息があり,少なくとも過去10年以上,副腎皮質ステロイド薬を内服していた。矯正視力は右0.15,左0.8であった。右眼に網膜中心静脈閉塞症,左眼に切迫型網膜中心静脈閉塞症の所見があった。左眼はいったん寛解したが,初診から5年後に視力が0.2に低下した。半側(hemi)網膜中心静脈閉塞症の所見があった。経過中に高血圧,糖尿病はなく,血液一般検査所見は正常であり,抗リン脂質抗体症候群あるいは高粘稠症候群は否定された。このような若年成人の両眼に網膜中心静脈閉塞症が発症したことは異例なことであり,長期間の副腎皮質ステロイド薬の内服で血栓形成が誘発された可能性がある。
掲載誌情報