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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻5号

2004年05月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (3) 専門別研究会

色覚異常

著者: 市川一夫1

所属機関: 1社会保険中京病院眼科

ページ範囲:P.829 - P.832

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 平成15年10月31日,名古屋国際会議場436会議室で9:00から12:00で開催,一般演題5題と学校健診から色覚検査が除かれたことに関するフォーラムが行われた。一般演題は,座長:山出新一(滋賀医大)で行われた。

 (1)成人色覚外来受診者の動機の変化について中村かおる・他(東京女子医大)が報告した。厚生労働省が,2001年10月から労働安全衛生規則を一部改正し,色覚異常者に対して根拠のない雇用制限を行わないように指導を始め,その影響で,成人の色覚外来への受診動機に変化が生じてきていることについて具体的な7症例を呈示した。症例1(24歳,第2色盲:D)は鉄道技術研究施設,症例2(24歳,D)は電力会社,症例3(21歳,第2色弱:DA)は映像関係企業への採用内定後,診断書を求められ受診した。いずれも配属決定の資料にするためで,色覚検査結果により採用を取り消しされることはない症例であった。症例4(25歳,D)は自動車製造業の研究職で,テストコースを走行するにあたり悪条件での信号機の見分け困難を自覚しており,症例5(20歳,D)は放送業務で,映像品質管理に必要なランプの識別困難のために業務に支障を感じ受診した。症例6(30歳,D)は牧場で就業中,生産動物の排泄物による健康管理の失敗が重なり解雇されていた。症例7(26歳,D)は電気工事関係勤務中,電気コードの色識別での失敗により契約破棄に至ったため,色誤認への対策を求め受診した。配属や職場環境に対する意識が芽生え,積極的に情報を求める企業が目立ち始めて,色覚異常者への雇用制限緩和が確実に進んでいることが示唆された。しかし色覚異常者自身には色誤認の自覚がまだ不十分であり,失敗回避への対策が必要であると報告した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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