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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻5号

2004年05月発行

文献概要

臨床報告

トリアムシノロン併用硝子体手術後に生じた眼内炎の1例

著者: 吉田ゆみ子1 熊野けい子1 古川真理子1 熊谷和之1 荻野誠周1

所属機関: 1総合上飯田第一病院眼科

ページ範囲:P.845 - P.848

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 64歳女性が左眼の変視症と黄斑上膜で受診し,矯正視力は0.9であった。超音波水晶体吸引術,眼内レンズ囊内挿入術,硝子体切除,黄斑上膜剝離を行った。トリアムシノロン(triamcinolone acetonide)を硝子体灌流液に混入した。術中経過は順調で,3週後の矯正視力は1.2であった。手術5週後に左眼の霧視が突発し,視力が0.01に低下した。前眼部の炎症は軽度であったが,硝子体混濁があり,感染性眼内炎が疑われた。4日間抗生剤を全身投与し,5日目に灌流液に抗生剤を混入する硝子体手術を行った。4日後に再燃したが,抗生剤の硝子体内注入などで炎症は消失し,1.5の最終視力が得られた。経過中の細菌検査はすべて陰性であった。トリアムシノロン併用の硝子体手術後に生じる眼内炎は,遅発性で前眼部の炎症が隠蔽される可能性があることを示す症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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