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連載 あのころ あのとき41
人生の転換
著者: 武田忠雄
所属機関:
ページ範囲:P.906 - P.908
文献購入ページに移動武田忠雄は大正13年1月2日,宮城県丸森町に生まれた。月日が経つのが早くいつしか傘寿になってしまった。父は農蚕業を主業としていたが,冷害や水害でしばしば痛めつけられた。小学4年生のときだったろうか,数名が家に来て味噌桶に赤札を貼って行った。
昭和9年は東北地方が大冷害に見舞われ苦境のどん底に陥り,娘の身売り,欠食児の増加など社会的不安が多発した。わが家は堤防の外にあったので長期の降雨で増水し,床上30cmにも浸水したことがたびたびあった。ご下賜金で郷倉が部落ごとに作られたのもこのときだったと思う。増水すると丸森橋近くの堤防兼県道が揺れ恐怖を感じた。
小学6年生のとき,受持ちの鈴木重吉先生から中学に進学するよう勧められたが,家の経済事情を考えて,誰にも相談せず断った。兄は農蚕学校に進んでいたので,自分もその程度にしか考えていなかった。小学校高等科1年の農業科で屎尿の運搬をさせられ,私には向かないと感じた。
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