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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻7号

2004年07月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (5) 原著

慢性涙囊炎として加療されていた涙囊部悪性腫瘍の1例

著者: 岡奈央子1 児玉俊夫1 大橋裕一1 兵頭政光2 木藤克己3

所属機関: 1愛媛大学医学部眼科学教室 2愛媛大学医学部耳鼻咽喉科学教室 3愛媛大学医学部病理学第一

ページ範囲:P.1181 - P.1186

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 72歳女性が15か月前に涙囊部に腫瘤が生じ,慢性涙囊炎として治療されていた。涙囊部に腫瘍が発見されて当科を受診した。右涙囊部と右耳前部に無痛性の腫瘤があり,画像診断で涙囊部腫瘍は篩骨洞に浸潤し,ガリウムシンチグラフィで同部位に集積があった。摘出した涙囊部の腫瘍は,核異型を伴う扁平上皮様の腫瘍細胞が充実性胞巣を形成し,特殊染色で粘液産生細胞の混在があり,悪性度が高い粘液表皮癌と判断した。耳前部の腫瘍はその組織像からリンパ節転移と判断した。その2週間後に顎下リンパ節郭清術を行った。さらに放射線照射を行い,初診から17か月後の現在まで小康状態にある。急性炎症の既往がない涙囊部腫瘤では涙囊腫瘍の可能性があることを示す症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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