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特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (5)
原著
文献概要
85歳女性が右眼の眼痛と視力低下で緊急に受診した。22年前に白内障全摘術が行われ,7年前に毛様溝縫着による眼内レンズの2次挿入を受けていた。受診の5か月前の定期診察で1.2の矯正視力があった。緊急受診時には前房蓄膿を伴う眼内炎があり,遅発性であるにもかかわらず,自覚所見,多覚所見ともに急性術後眼内炎と同様な経過をとった。硝子体の培養で,インフルエンザ菌が分離された。感染の原因は,7年前の眼内レンズの2次挿入で使用し,8時の角膜輪部から1.5mm後方に通した10-0ポリプロピレン糸の断端が球結膜から露出していたためであると判断した。結膜上にポリプロピレン糸が露出しているときには,これを早期にレーザーで処理して断端を短くし,結膜で被覆されるような処置が望ましい。
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