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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻7号

2004年07月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (5) 原著

男児に発症した全身性エリテマトーデスによる閉塞性網膜血管炎

著者: 大庭啓介1 上松聖典1 栗原潤子1 計盛幸子2 峰雅宣3

所属機関: 1健康保険諫早総合病院眼科 2健康保険諫早総合病院皮膚科 3健康保険諫早総合病院内科

ページ範囲:P.1303 - P.1307

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 14歳男児の左眼に視力低下が生じ,その当日に受診した。3日前から発熱,両足の関節痛と腫脹,顔面と足に紅色皮疹があった。矯正視力は右1.2,左0.03であり,両眼の眼底に綿花状白斑が多発していた。左眼の黄斑部に無灌流領域があった。血液検査を含む全身所見から全身性エリテマトーデス(SLE)と診断した。副腎皮質ステロイドの大量全身投与を行い,全身所見は軽快したが,眼底所見はすぐには改善しなかった。低投与量での内服を継続し,網膜血管炎は鎮静化し,側副血行路が形成され,発症から5か月後に左眼視力が0.8に回復した。男児にSLEが発症することは稀であり,重症化することがある。本症例は,抗リン脂質抗体が陰性で,亜急性型の紅斑であったことが重症化しなかった一因であると推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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