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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻7号

2004年07月発行

文献概要

臨床報告

多剤耐性のCorynebacterium speciesが検出された角膜潰瘍の1例

著者: 岸本里栄子1 田川義継1 大野重昭1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科視覚器病学分野

ページ範囲:P.1341 - P.1344

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 65歳,男性が左眼の視力低下と疼痛で受診した。6年前に左眼が角膜炎と診断され,以後再発を繰り返し,抗菌薬やステロイド薬の治療を受けていた。18日前に水疱性角膜症が発症していた。20年前に糖尿病が発見され加療中であったが,コントロールは不良であった。矯正視力は右1.0,左光覚弁であった。右眼に異常所見はなかった。左眼には角膜中央に円形の潰瘍があり,潰瘍底はデスメ膜瘤になっていた。眼脂と結膜充血が顕著であった。眼脂の培養でCorynebacterium sp.が検出された。薬剤感受性検査で,ペニシリン,セフェム,テトラサイクリン,グリコペプチド,クロラムフェニコール系に感受性があり,ニューキノロン,アミノグリコシド,マクロライド,リンコマイシン,ホスホマイシン系に耐性を示した。感受性のあるテトラサイクリン系の眼軟膏とセフェム系の点滴で眼脂が減少し,3か月後に角膜潰瘍は瘢痕治癒した。コントロール不良の糖尿病,ステロイド薬と抗菌薬の長期点眼,水疱性角膜症による局所のバリア機能低下が感染の誘因になったと推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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