臨床眼科58巻8号

2004年08月発行

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集　(6) 原著

ヒーロンVと空気を使用した眼内レンズ挿入（第2報）

著者： 大西健夫¹ 岡田法子¹ 小出良平²

所属機関： ¹太田綜合病院附属太田熱海病院眼科 ²昭和大学医学部眼科学講座

ページ範囲：P.1409 - P.1414

　空気で水晶体囊を拡張させ，シリコーン眼内レンズ（IOL）をインジェクターで挿入する白内障手術を40眼に行った。通常の方法でヒーロンV^(R)を使ってIOLを挿入し，behind the lens（BTL）法で除去した20眼をBTL群，少量のヒーロンVと空気を使ってIOLを挿入し，rock'n roll（R＆R）法で除去した10眼をR＆R1群，同様に中等量のヒーロンVを使った10眼をR＆R2群とした。手術から24時間後のR＆R1群の眼圧は，他の2群よりも低値であった。手術から4時間後の眼圧が30mmHg以上の症例は，BTL群2眼，R＆R1群0眼，R＆R2群1眼であった。少量のヒーロンVと空気でIOLを挿入しR＆R法で除去する方法は，術後眼圧の上昇予防に有効な可能性がある。