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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻8号

2004年08月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (6) 原著

高齢者ドナーを用いた全層角膜移植の検討

著者: 南波敦子1 濱田直紀1 山上聡1 天野史郎1

所属機関: 1東京大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1429 - P.1432

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 80歳以上のドナー角膜を用いた全層角膜移植術の有用性について検討した。過去2年間にアイバンクから提供されたドナー角膜96眼の角膜内皮細胞をスペキュラマイクロスコープで観察した。ドナー角膜は80歳以上33眼,80歳未満63眼であった。別の検討として,1986~1998年の12年間に初回手術として全層角膜移植を施行した80眼の術後5年目での透明治癒率,術後視力を検討した。ドナー角膜の内訳は80歳以上22眼,80歳未満58眼であった。ドナー角膜の内皮細胞密度は,80歳以上では2,512個/mm2,80歳未満では2,720個/mm2であり,80歳以上のドナーで有意に少なかった(p=0.04)。一方,全層角膜移植を行った80眼での5年後の透明治癒率と術後視力は,いずれも80歳以上と80歳未満との間で有意差が認められなかった。以上のことから,80歳以上の高齢者ドナー角膜を用いた全層角膜移植術は臨床的に有用である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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