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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科58巻9号

2004年09月発行

文献概要

特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (7) 原著

放射線治療が著効した脂腺癌の1例

著者: 角谷庸子1 安積淳1

所属機関: 1神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座(眼科)

ページ範囲:P.1699 - P.1703

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 92歳の女性が,4年前に始まり,次第に悪化する右下眼瞼の腫瘍,びらん,出血,疼痛で受診した。糖尿病,慢性腎不全があり,貧血,高血圧,尿路と呼吸器感染症などが併発していた。右眼は眼脂が強く,下眼瞼が膨隆し,眼瞼縁に潰瘍があった。画像診断で腫瘤は下眼瞼全体に広がり,大きさは25×40×27mmで,一部眼窩内に浸潤していた。皮膚科での生検で脂腺癌と診断された。高齢であり,全身状態が不良なので,全身麻酔下での下眼瞼全体を含む拡大切除と眼瞼再建術を行わず,放射線治療を単独で実施することにした。直径6cmの電子線一門で60 Gyを照射し,その終了後2か月で病変部の潰瘍はなくなり,腫瘍は扁平化した。脂腺癌に対する放射線治療の有効性を示す1例であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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