特集 第57回日本臨床眼科学会講演集 (7)
原著
中国における角膜ジストロフィの遺伝子変異
著者:
田欣12
藤木慶子1
劉祖国23
王麗亜4
李勤5
王微2
謝培英6
金井淳7
村上晶1
所属機関:
1順天堂大学医学部眼科
2北京大学第三病院眼科
3中山大学眼科センター
4河南省眼科研究所
5吉林大学中国・日本合同病院眼科
6北京大学光視学センター
7順天堂東京江東高齢者医療センター眼科
ページ範囲:P.1735 - P.1737
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中国での角膜ジストロフィの遺伝子変異を検索した。対象は,河南省,山西省,吉林省など中国東北部の6施設で経過観察中の角膜ジストロフィ患者27家系59名と,家系内正常者14名,正常者50名のDNAをPCRで増幅し,塩基配列を調べた。TGFBI遺伝子に関して,顆粒状角膜ジストロフィ5家系では,R124Hが4家系,R555Wが1家系にあった。Reis-Bücklers角膜ジストロフィではR124Lが2家系にあり,格子状角膜ジストロフィでは9家系中R124Cが5家系,V505Dが1家系,H626Rが2家系にあった。膠状滴状角膜ジストロフィの1家系はM1S1遺伝子のQ118X/Y184Cであった。CHST6遺伝子に関して,斑状角膜ジストロフィ11家系中,ホモ接合が4家系,複合ヘテロが7家系にあった。以上の結果から,中国のTGFBI遺伝子のR124が,他民族と同様にhotspotであると結論される。格子状角膜ジストロフィでは新たにV505D変異が発見され,また,日本には報告がないH626Rなど,民族特有の相違がうかがえた。